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散華月
 こっちのタイトルにしてみようかなと、換えてみた。
 とはいいつつ、テキストのタイトルだけどね。
 今、20kbほど。
 けど、起承転結でいえば、起だったりxx
 長くなる~~~~。
 どうしよう。
 こんなん、読みたい人いるかなぁ。
 いや、まぁ、あいかわらず、浅野くんご受難物語でしかないんですが。
 「山月記」と、タイトルつけようと思ってた。その上、「巷説百物語」に転びたてに思いついた話だったりするし。暗いというか、なんというか。
 最初のイメージでは、「巷説」の、「小豆洗い」と「舞首」のコラージュっぽいというかなんと言うか。が、今となっては、どこにも面影すらない。あるとしたら、浅野くんが追っかけられて逃げてるってくらいか。でも、それって、たいてい、いつもの浅野くんなので、「巷説」が元ネタってことにもならんような……。
 結局、いつもの魚里の書く話なんだな。
 ここにうだうだと書くということは、ちょっと、途方に暮れてるからだったりするんですが。

 って、ことで、ちょこっと、最初のほうをコピーしてみよう。
 読みたい人、いる?

『散華月』

「だ、だめだっ。やめてくれ」

 鋭い牙が、震える白い肌を裂こうとしていた。

 今、まさに、目の前に広がるだろう血の赤に、最後の最後で、足が、動いた。

 喉に、衝撃を、次いで、灼熱。痛みがやってきたのは、それから、だった。



 オレは、追われていた。

 なにがなんだかわからない。

 それが、正直な気持ちだった。

 なんで、こんなところにいるのかも、なんで、手に凶器を持った男たちに追っかけられなきゃならないのかも、まったく、わからなかったんだ。

 なぜって、ことばが通じないから。

 目が覚めたら、見たこともない場所で、怖そうな顔をした変な服装の男たちに見下ろされてた。

 ここはどこだ――って、訊いたオレのことばは通じなかった。変な顔をして男たちは何かを相談しだして、そのまま、オレは、殺されそうになった。

 疑問符だらけのオレの頭は、たちまち、恐怖であふれかえった。

 だから、ただ、逃げたのだ。

 いや、逃げているのだ。

 舗装なんかされていない細い山道は、足首を捻ってしまいそうにでこぼこしていて、あちこちに石が転がっている。

 いったいどこの田舎だという疑問なんかより、息が、苦しいってことのほうが、より切実だった。

 心臓が悲鳴をあげている。

 足だって、もう、ジンジンを通り越してる。

 ただでさえ、マラソンなんか嫌いだって言うのに、オレは、なんだって、こんな山道を走って上ってるんだろう。

 逃げてるからだけど、も少しましな道があったんじゃないか。なんて、つい、思っちまう。

 オレが、いったい、何をしたって言うんだ。

 喚きたかった。

 帰りたかった。

 中学から愛用してる腕時計を見れば、もう、夜の九時だ。蛍光塗料が黄色く光ってる。

 オレってば、三時間近く逃げてんのか。そりゃ、隠れたり、止まったりを、何度もしてるけど、駅伝や、マラソンコース完走って時間じゃんかよ。しかも、山道だぜ。も、ヘバっちまう。

 いつもだったら、家に帰ってる時間だ。

 学校帰りに塾行って、それも終わって、飯食って風呂はいって、宿題やってるか、ゲームやってるか。そういえば、毎号読んでる雑誌、帰りのコンビニで買ったってーのに、カバンなくしちまってら、読めやしない。くそっ。続きが気になってる連載があったのに。

 今日は、せっかく、塾のない日だったってーのに、オレはいったいなにやってるんだろう。

 逃げてるっていうのに、オレってばいったいなにをやってるんだろう。

 目の前に、白い小さなウサギがへたってたんだ。

 血が、後足から流れてる。

 全身が、ひくひくと、荒い呼吸に引きつってる。

 多分、それが、オレの未来の姿のひとつに見えたんだ。きっと、男たちに見つかっちまったら、オレって、こんな風になってしまうんだろうなって、そう思ったら、ほっとけなかった。

 思わず、拾い上げて、

「うわっ」

 傷ついてる後足で蹴られそうになって、オレは、大声をあげそうになった。

 だ、大丈夫だ。

 周囲の気配を探る。

 とりあえず、気配はない。

 ちょっと前に、もしかしたら、振り切れたかと、思いはしたんだ。

 まだ、安心はできねーけど、でも、多分。

「だいじょうぶだって。いじめやしねーよ」

 こそこそと手近の繁みに這いずりこんで、オレは、小声でウサギに話しかけた。

 まぁ、ウサギの傷の手当て、できやしねーけど、致命傷だったら、アウトだけど。けど、なぁ。なんか、身につまされて、ほっとけなかったんだ。しかたないよな。

 なんかないかと、制服のポケットを探る。

 出てきたのは、ハンカチ、学生証、それに、小銭入れに、銀紙に包まれてるチョコレート。それだけだった。

「なんか、役に立つものないよな」

 サバイバルの達人だったら、これだけあったらどうにかなったりするんだろうか? いくらなんでも、無理って気がする。まぁ、オレだって、チョコレートがいざって時の非常食に最適ってことくらいは、知ってるけど。

「興味なかったしなぁ……」

 血止めの草だって、わからない。

 とりあえず、ハンカチを細く千切って、ウサギの傷口を縛ってやる。心臓に近いほうを縛るんだったよな。保健体育で習った知識を総動員だ。けど、

「こんなでいいんだかどうだか……」

 独りごとが多いなと思いながら、止められない。

「ごめんな。手出さなかったほうがよかったか?」

 話しかけてみる。返事がかえってくるわきゃないけどさ。

 半月よりも細い月の頼りない光が、ウサギの目をちょこっとだけ光らせた。

 ふわふわで、あったかい。ウサギの心臓が、せわしない脈を刻んでる。

 なんか、オレは、ぼんやりしてた。

 自分以外の生きもののぬくもりに、トクトクと動く心臓に、ほんの少し、安心しちまってたのかもしれない。

 もしかしたら、寝ちまってたのかもしれない。

 がさりという物音に、オレは、全身で反応しちまった。

 と、ウサギが、オレの手の中から、もがいて逃げた。

「ちびっ」

 叫びそうになったけど、かろうじて、オレは、自分の口を押さえることができたんだ。

 けど、なんつうか、それって、結局無駄だったみたいだ。

 オレは、今、オレの目の前の現実を、認めたくなかった。

 なぜ?

 なぜって……。

 オレの目の前には、緑に光る、一対の目玉。

 荒々しい、呼吸。

 そうして、むっとするほどの、獣の匂いと、熱。

 月の光を遮って、オレを覗き込んでくる、なんなのかはわからないでっかい、獣の顔が、まさに、目と鼻の先にあったからだ。

 結局、オレの意識は、緊張感に耐えられず、そこでぶっ飛んじまった。

 オレは、自分で自分の軟弱さを呪いながら、気絶しちまったんだ。
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