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2024/02
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桓祥? + 昇浅 + 剣ちゃん(ゲスト)  7回目
「それじゃ世話になったな」

「もう少しいてくださってもよかったんですよ」

 玄関先で火打石を打ち鳴らしながら、女が言う。

「また、そのうちな」

 笑って玄関を出てゆく広い背中に、

「そっけないんですから」

と、つぶやいた。

 うっすらと立ち上がった霜柱をキュッキュと鳴らしながら、更木はまだ明けきらぬ町を歩く。

 町中を抜けて、人気のない川土手を歩きながら、どこぞで刀を調達しなければなと、眉間に皺を寄せた時、

(なんだ)

 更木は目を眇めた。

「離してください」

 悲鳴じみた声が、聞こえてきた。
 
 さして大きくはない鳥居の奥からのそれに、更木は、足を向けていた。

 鬱蒼とした木々に囲まれた境内は、ようやく空に全身を現した太陽に、照らし出されていた。

(あれは………)

 どこか記憶に引っかかる、丈の高い少女が、三人の浪人者に絡まれていた。

 まだ若い女がこんなところで、こんな時間に、なにをやっている――と、思いはした。しかし、見てしまった。

 ひと暴れするのも悪かないかと、更木は、騒ぎに近づいた。

「娘っ子一人に三人がかりたぁ、みっともない」

 嘲笑を含んだ低い声に、男たちが振り返る。

「邪魔をするなっ」

 刀を抜いた男から、

「なかなかよさそうな刀なだな」

 ニヤリと、奪い取る。

 奪い取って、撫で下ろした。

 一瞬の出来事だった。

 男は、なにが起きたかわからなかっただろう。

 自身から流れ出た血溜まりに突っ伏して、痙攣を繰り返す。

 ぞろり、舌で、乾いたくちびるを舐め湿した。

「次は、どっちだ」

 視線で、残るふたりを撫でるように見やる。

「でえい」

 自棄のように打ち込んできた浪人者を、避けて、後ろから背中を蹴る。

「ぐぇ」

 踏み潰されたカエルの断末魔のようなうめきをあげて、男は、たたらを踏んで繁みに突っ込んだ。フンと一瞥を投げかけ、刀の背で、自分の肩を叩く。

「どうする」

 あまりの手ごたえのなさに、興味は失せていた。

 女を背後から抱きかかえ、呆然としている男に、一歩近づく。

 気圧されて、男が、一歩下がる。

 腕の違いに脂汗を流していた男は、もう一歩更木が近づいたのをはずみに、尻に帆をかけた。途中、繁みに突っ込んだ仲間を助けることを忘れなかったのが、男の精一杯だったのだろう。

「くだらん」

 血溜まりに突っ伏している男の腰から鞘を取り、刀をおさめる。そうして、腰に差し込んだ。

 ぼんやりと立ち尽くしている女に、

「女ひとり、こんなとこにいたら、襲ってくれといってるようなもんだ」

 そら、家はどこだ。

 と、腕を握る。

 はっと、顔を上げた女が、更木を見た。

 血の気のない顔の中、褐色の双眸が、戸惑うように揺れている。

 厄介ごとに関わったか。

 思ったときだった。

「お嬢さま」

 境内の裏から、誰かが現われた。

 顔は、影になっていてわからない。しかし、記憶にある声だった。

 女が、首を横に振る。

 人を殺したばかりの男を、縋るように、見上げる。

 ちっ――とばかりに舌打ちすると、更木は、

「そら」

と、女の腕を引っ張った。



「惚れてる女のところに、他の女をつれてきますかね」

 綿入れを羽織った婀娜っぽい女が、更木と一緒に入ってきたまだ若い女を見やる。

「悪いな」

 ことばほどに悪いとは感じていないだろうふてぶてしさに、ふーと、溜め息をついて、

「ま、かまいませんけどね」

 女が肩を竦めた。

「それで、行くあては?」

 首を横に振る。

「喋れないのかい?」

「あ、すみません。お世話をおかけします」

 気づいたように謝る声は、低くかすれている。

「名前は?」

 女が、何かに気づいたように、目を眇める。

「お郁」

「あんた………男だね」

 お郁が、からだを震わせた。

「まさか」

 更木が、一笑に付す。

「あたしの目は、ごまかせませんよ」



ちょっと少な目。ほんとだったら、将軍さまが乗り込んできて、お郁ちゃんが悩んで、家出して~剣ちゃんに連れ戻されて~それでって流れになるはずなんですが。お郁ちゃん、珍しく自分から動いたねぇ。で、剣ちゃん、妙に、優しい? でも、やさしいでしょ、剣ちゃんって。ひと殺しとりますが………。助けるためですけどね。う~ん。違うかな?
フェアじゃない?
一応、魚里なりに入れてたつもりなんですが。
これは、ず~っと悩んでたんです。女の子のままでいくか、男の子にするか、でもって、半陰陽にするか。魚里は、どうも、半陰陽は書けない模様。ああ、これで、引き返せないvv
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