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in the soup 24回目
 いつもご来訪ありがとうございます♪







 朝からの突然の慌しさが何のためなのか、郁也が知ったのは強要された着替えのあと車のリアシートに押し込められてからだった。

 昇紘が何を考えているのかわからない。

 ただ、先日言ったことばを撤回したのだけはわかった。

 昇紘のほかにクリスとエンリケが車には乗っている。

 エンリケに休みはあるのだろうか?

 ふいにそんな疑問が郁也の脳裏を過ぎった。

 秘書だとしても、休日くらいあるだろ。

 なのに、いつも彼はあの家にいる。

 住み込みなのだろうか?

 ぼんやりと助手席に座っているエンリケを見ながら考えていた。

「何を考えている」

 いきなり顎をとられて、郁也は大きく震えた。

 右隣にクリス左隣に昇紘という居心地の悪さを思い出す。

「ど、どこに………」

「気分転換だ。一週間ほどxxで過ごす」

 車で数時間くらいの距離の移動ならお前にもさして負担にはならないだろう。

 場所が聞き取れなかったが、どうせさして重要じゃないと、郁也は聞き返さなかった。どういう気まぐれか屋敷から出してもらえたことを嬉しいと思うよりも、不安に思うほうが強い。それに、向かった先でもどうせ自由はないのだろうと思えば、どうでもよくなる。場所は変われど、することはなんら変わらないのに違いないのだ。

 クリスが来た日の夜以来、昇紘とのそうした接触はなかった。

 いつ来るかと怯える日が一日二日と続き、五日が過ぎた頃、息子がいる時にはそういうことはしないのかもしれない。と、郁也は思い至り、なんだか可笑しくなった。

 そうしてほんの少しだけ肩の力を抜いたタイミングで、車に押し込められたのだ。

 窓の外を眺めたかった。

 屋敷の庭意外を見るのはどれくらいになるだろう。

 もちろん、病院の庭以来だが。

 クリスの向こう側の窓の外、景色が流れて去ってゆく。

 夏なのか。

 あまり意識はしていなかったが、考えれば夏だ。

 この国の夏休みは三ヶ月近くあったはずで。この休みを終えれば学年がひとつ進むはずだった。

 書きかけのレポート、読みかけの資料。そんなものは多分、処分されただろう。

 本当の自分は既に殺されているのだと、思い出す。

 ここにいるのは、ただの抜け殻なのだと。

 すべてを奪われつくした、生ける屍に過ぎないのだ。

 銀の弾丸で打ち抜かれて、どろどろに溶け崩れてしまえればいいのに。

 車高ガラス一枚隔てた外を透かし見ながら、郁也はぼんやりと己が朽ちてゆくシーンを思い浮かべていた。

 眠れやしない。

 そう思っていた。

 左右を苦手とする人間に挟まれて、どうして眠れるだろう。

 しかし、存外自分は図太い立ちなのかもしれないと、郁也は思わずにいられなかった。

 気がつけばそこは広い寝室だったからだ。

 キングサイズの広いベッドの上に、郁也は横たえられていた。

 大きな一枚ガラスの窓から夏の日差しが差し込んでいる。

「開かない……」

 ベランダがないことを鑑みれば、開かない窓は正解だろう。

 地上何十階もの高さを見下ろせば、足元が揺らぐ。

 こんもりと茂った緑が心地よさそうに見えた。

「どこなんだろう」

「あれは国立公園だ」

 同じ名前の橋があったなと、郁也は振り返った。

 そこに、生成りのサマーセーターにスラックス姿の昇紘を見、郁也は知らず目をしばたかせていた。

 そういえばと思い返す。

 昇紘のビジネススタイル以外を見たことはなかったような気がする。

 歳の割りに引き締まっている昇紘のからだのラインが不意に脳裏を過ぎった。

「どうした」

「な、なんでもないっ」

 顔を背けた。

「たまにはクリスの提案に乗ってやるのもいいだろう」

 あれが遊びたいだけかもしれないがな。

 あれの好みにしては健全ではあるが。

 つぶやく声とともに、抱きしめられた。

 からだが強張りつく。

「あいかわらずだな」

「ああ、いい折りだ」

 抱きしめたばかりの郁也を解放し、昇紘が寝室を出てゆく。

 詰めていた息を吐き出して、郁也は手近のソファに頽おれるように腰を下ろした。

 二十畳ほどはあるだろう寝室には、ベッドとソファセット以外は手の込んだ細工が施された箪笥が数棹据え置かれている。余裕のあるスペースに扉は三つ。ひとつはついさっき昇紘が出て行ったドアである。残りの二つはどこに通じているのか。なんとなく予測できるような気がして、ふらりと郁也は立ち上がった。

「やっぱり」

 黒大理石と金とがふんだんに使われたバスルームは、それだけでも十畳はありそうに見えた。

 白い大理石の浴槽の広さも、半端ない。

 近寄れば、既に浴槽には湯が張られ、はなびらが浮かんでいる。中を確認するまでもなくジャグジーに違いない。

 浴槽の向こうは全面のガラス窓だ。

「なんだってこんな……」

 まるでずいぶんと昔のトレンディドラマのハネムーンカップルが泊まるような、デラックススウィートじゃないか。

 それも超がつくくらいの。

「気色悪い」

 ぞっと鳥肌が立った。

 あの男が何を考えているのかは知らないが、ろくでもないことに違いない。

 そうして、そのろくでもないことは、たいてい、自分に降りかかることになる。

 バスルームを後にした郁也が元のソファに腰を下ろしたとき、昇紘が戻ってきた。

 手には何か小さな箱を持っている。

 なぜだか郁也の背中に鳥肌が立った。

 ソファの背にからだを押し付けるようにして、すぐ目の前に立つ昇紘を見上げる。

 昇紘が開いた紫紺のベルベットでコーティングされたその箱の中には、緑の石のピアスが一対鎮座している。

 エメラルドなのか、深い緑の石が陽射しを弾いてきらめく。

 まさか――と、思った。

 次いで、それが確信に変わる。

 ざっと音たてて、血液が下がるのが感じられた。

「い、嫌だ」

 首を左右に振る。

「薄い耳たぶだ。すぐに済む」

 耳朶を掴んで、昇紘がなんでもないことだと断じる。

「い、いたいのはっ嫌だっ」

 耳朶に穴をあけるだなど、信じたくなかった。

 メジャーなオシャレのひとつだということは知っている。それこそ、耳朶どころじゃなく色んなところに色んなピアスをつけている輩がいることも知っている。

 それでも!

 自分は決してピアスをつけないだろうと、郁也は確信していたのだ。

 別段先端恐怖症というわけではない。それでも、自分のからだに穴を開けるなど、怖気が走る。

 子供じみた恐怖に、からだが震えるのを抑えることができなかった。

 涙がこみあげるのを堪えることができなかった。


***** とりあえずこんな感じなんですが。久しぶりに書いたからか、テンポが妙に明るめな気がします。前回と比較すると、雰囲気が滅茶苦茶軽いですよ。う~む。
 一人登場人物を増やそうと目論み中なんですが。また男xx クリスの本来の役割を割り振ろうと思ってるので必要人物なんですけど。クリスの性格を元に戻したいと思ってるので。タイミングが難しいぞ。
 しかたない。もう少し後に登場さそう。
 バカンス先で事件が起きる――ありがちといえばありがち設定なんですけどね~降って来ちゃいましたので。
 どちらにしても事件を一個でも二個でも起こさないことにはこの話は進まないのだからして。
 主役ふたりが動かない性格なのが大問題!
 短い話ならそれでもいいんですけどね。原稿用紙30枚未満くらいの話ならそれで充分なんだけど。そろそろ200枚くらいになりそうなこの話でそれはいかんだろうということで。枚数に関しては“多分”ですけどね。
 あいかわらず影の薄いエンリケ。
 どうしてもドSのオジサン。
 不幸体質から抜け出せない郁也クン。
 夢の中、添削された魚里の原稿に、赤ペンで「キャラ萌え~」な主人公にしてみては。などと書かれてありました。………いったい誰が添削したんだ~~~~? あ、夢だし、魚里本人かxx あいかわらずなんて夢。
 分厚い現行の小説二編、真っ赤な添削がされて帰ってきたという夢でした。どんなんや。
 少しですが、楽しんでいただけると嬉しいです。


 昨日、魚里、ポーチの三段の階段を踏み外してもう少しで転落するところでした。家のポーチに下りる階段って、一段一段が結構高目なので、魚里はすっすっすと下りないんです。一段一段一個一個えっちらおっちら下りるんですよ。年寄り並みのテンポです。そのテンポで、ぐきっと足首が~~~。咄嗟に開いてたフェンスに松葉杖二本に縋りつく感じですがり付いて事なきを得たのは得たのですが。
 微妙に捻ったらしくて、痛いです。
 まぁ、捻挫には至ってません。単に捻ったって感じなんですけどね。
 あれ落ちてたら、骨折ってたかもしれないなぁ。
 気をつけよう。
 ちなみに、魚里は骨折したことはありません。ヒビまでなんですね~。足首の捻挫もしたことはないのです。去年腰椎捻挫しちゃったので、捻挫したことないって言えなくなったのが悲しいですが。基本、魚里の場合は脂肪が骨を守ってくれてるもようですvv

 で、ま、これも昨日。
 色々やりたいこともあったのに、ついつい楽なほうへと流れて行くのが駄目人間の証ですが。
 3Dのパズルを入手しました。
 プラスチック製の、赤薔薇の立体パズルと、同じく黄色いジュエリーボックス。44ピースと47ピースと小さいのなんですけどね。これまでジグソーパズルすら実を言うと完成させたことがない魚里。
 言い訳は、犬猫飼っててジグソーパズルなんかできない! ですvv いえ、茶々丸はちょいちょいと横からピースやらビーズやらを取ってこうとするんですよ。ビーズとか好きみたいで、魚里がビーズを弄ってても持って行こうとしますから。
 それが、無謀にも立体パズルに挑戦! いや、これが、赤い薔薇がなければしようとは思わなかったに違いないんですが。高遠さんフリークの魚里に、赤い薔薇一輪のパズルなんて~~~見過ごせないじゃないですか。せめて売り切れててくれれば~~~xx うううう。
 で、チャレンジ!
 3時間くらいかかったかな。あと9ピースで完成までにこぎつけたものの、手が滑ってばらばらにしちゃいましたxx わっはっはxx 笑うしかないやん。
 ま、まぁ、少しはコツを掴めた気がするので、またそのうちチャレンジだ! ら、来週? 気力があったらね。

 魚里は、最近、PCをマックに乗り換えようかなと目論み中です。
 画像が重いと動きが止まるのがいらいらするので、マックはそういうの少ないかなぁと、考えてたり。色々可愛い動物の映像とかを見てても途中で読み込み中マークが頻繁に出るのが辛いのだ。メディア系に強いらしいマックなら大丈夫かなぁ? で、マックに乗り換えるなら、ぜひともデスクトップにしたいなとvv デスクトップのマックのデザイン好きなんですよね。シンプルで。しかし、そうなると、PCゲームが全部使えなくなるんですよね。まぁ、買ったのにほとんどプレイしてないから、まぁいいかと思わないでもないんですけどね。誰か欲しいって言う人がいたら譲ってもいいなぁ。捨てるのもちょっと恥ずいしね。
 で、魚里今Ipodshuffleを使ってますが、これも充電機能がやばくなったらどうしようと考え中。Ipod に乗り換えるべきか。シャッフルのデータをスムースにそっちに移行できるのなら問題ないんだけどね。
 悩んでいる魚里なのでした。
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