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in the soup 18回目
 いつもご来訪拍手コメントありがとうございます。とっても嬉しいです♪

 少しだけですが、「ドツボ」次のターンが溜まりましたので、こっちにアップ。
 ラストは決まっちゃったので、明るくはならないです。
 少しでも楽しんでもらえると嬉しいのですが。微妙ですかxx

*****
 エンリケは、知り合ってからはじめて長く話した少年の思わぬ頑なさに目を見開かずにはいられなかった。

 何も聞きたくはないとばかりにうつむいた少年の後頭部を見つめ、溜息を押し殺す。

 忠告というにはおこがましいという自覚はあったのだ。

 無理を強いているのはこちらだ。

 悦い思いをしてるだろ―――と、下卑た笑いを滲ませる者が配下にいることは知っている。しかしそれは少年を直に見ていなからだ。元来へテロだろう少年にとって今の境遇は苦痛でしかないにちがいない。それ以上かもしれない。それは、嫌悪、もしくは恐怖だ。

 はじめて会ったときには自信と希望に輝いていた少年が、今やすっかり萎れてしまっている。

 自分が少年を今の境遇に追い落としたと、かすかな罪悪感があった。

 結果論になるが、青露の世話に少年を雇わなければ、ボスが少年に溺れることはなかっただろう。

 あれはもはや執着ではきかない。

 それ以上だ。

 先日の命令を行動に移した後、柄にもない罪悪感を覚えている。

 清廉潔白を装うほど恥知らずではないが、それでも彼に関する仕打ちは、思い返すたびにエンリケの心を軋ませた。

 少年に記憶があるかどうか判らないが、彼は自ら自分自身を最も厭う悪魔のような相手に売り渡したのだ。

 意識朦朧とする少年の手にペンを握らせた時の彼の手の熱さは記憶から消えることがない。

 先ほど見た警官たちが誰の死を確認しているのか、エンリケは知っている。

 この病院にあの死体を運び込んだのはボスの命令だったからだ。

 手を下してはいないとはいえ、もしも条件に合う死体がなければ、ボスは作ることさえ厭わなかったろう。幸いなことに、年恰好と血液型が同じアジア系の死体を捜すことなど造作もないことだった。その死体に少年のパスポートと財布を持たせればことは済む。留学生の事故死ということで色々な面倒はあるだろうが、あの警官たちはボスの息がかかっている。もちろん上層部にまでだ。そこはうまく処理してくれることだろう。

 処理してくれなければ困る。

 警察と裏社会の癒着など珍しいことではないが、それを当然と何もしないようでは困るのだ。

 賄賂に見合う働きはしてもらわなければ。

「少し冷えてきましたよ」

 少年が震え、同時に呻く。

 全身を捻挫していると聞いてはいたが、少しの痙攣ごときでこの状態とあっては、動くのはきついのではないか。

 医師は特に何も注意はしなかったが、見ているだけで痛々しく感じた。

 これでは、完治するまでかなりかかるだろう。

「そろそろ部屋に戻りましょう」

 少年が立ち上がるのを待つ。

 痛みは酷いだろうがいつまでもここにはいられない。

 これ以上はほかに体調を崩させるわけにはいかないのだ。

 出来得るかぎり早い退院が望ましい。

 それをボスが望んでいるのだから。

 可哀想だが、少年には涙を呑んでもらうよりない。

「早く治さなければ、あなたが辛いだけなのですよ」
 
 退院すれば、すぐにでもボスはあなたを求めるでしょう。

 付け加えようとして思い直す。

 おそらく、そんなこと、少年が誰よりもわかっているに違いない。

「病室でおとなしくしていてください」

 捻挫などそれくらいしか治すすべはないのだから。

 ようやく立ち上がった少年が、

「今にも気が狂いそうだというのに」

 呻くようにつぶやいた。







 その後姿を見たとき、郁也の心臓は大きく震えた。

 たくさんの人であふれかえるようなロビーにあって、その背中だけが彼の意識を奪った。

「おやじ?」

 似ていると思った。

 同時にそんなはずがないと打ち消す。

 父親は日本にいるのだ。こんなところで自分がこんな目にあってるなど、想像すらしていないに違いない。

 しかし、その人物が振り返ったとき、ロビーのざわめきが遠いものとなった。

「!」

 間違いない。

 どうしてここに父親がいるのか。

 そんなことはどうでもよかった。

 心臓が痛いくらいに脈打っているのが判る。

 懐かしいと思った。

 恋しいと。

 帰りたいと、切ないほどの思いがこみ上げてきた。

 このまま何気なくおやじの横に立って、おやじと一緒に家に帰るんだ。

 そうして総てをなかったことにする。

 できる気がした。

 だから郁也は一歩踏み出そうと、杖を前に移動させた。

 しかし、ことは叶わなかった。

「なにをやっている」

 腕を掴まれた。

 刹那にして郁也がその場で硬直する。

 今日は男が一緒にいるのだ。

「はなせ……」

 男の手を離させようと捻った瞬間、からだに痛みが走った。

 うずくまりかけた郁也を、男が抱えあげる。

「あれがおまえの父親か」

 何か含みを持たせた男のことばが耳の近くにささやかれた。

 ゾワリ――と、郁也の産毛が逆毛立つ。

 何故知っているとの疑問は、先ほどのつぶやきを男が聞いていたからかもしれないと思い至ったことで解けた。

「見ているぞ」

 助けを求めてみるか?

 父親なら息子を助けようとするだろうが。

 私がそれを許すと思うか?

「言っただろう? 私からおまえを奪うものは何者であれ許しはしないと」

*****
 ここまでです。
 謎といいますか。疑問といいますか。
 留学生が事故で病院に運ばれたとして、そのままそこで死亡となった場合。遺族はやはり支払いに来ますよね。大使館が処理して後で請求なのだろうか? 判らないというか、どう調べればいいのか自体が謎だったりします。こんなん、うかつに質問できないでしょうし。
 本当は、あらかじめ死んでる人間を郁也くんと偽ってモルグに収容と簡単に考えてたのですが。お父さんを出したいなぁ。でもって病院でニアミスして――ってしたいと思った時点で、ヤバイことに。
 これで昇紘さんが手を下していないなどというエンリケの言葉が怪しくなってくるのですが。あそこチェックかな。やっぱり。もう一度考え直したほうがいいだろうか? ああ、思い出した。えと、一応死体ではあるのですが、こちらに運び込んで死んだことにするのは昇紘の命令でした。ああ、忘れるところだった。おじさんの息のかかった病院なので、ある程度は自由が利くのだな。
 郁也くんにはすでに、逃げるところがないですね。今更ですが。不幸一直線な郁也クンなのでした。
 自分で書いているけど、なんかもう、もう少し明るいところがあってもよさそうなのにね。

 DVDですが、久しぶりにシャーロック・ホームズの『未婚の貴族』を見ました♪
 出だしああだったっけ? ホームズさんが雨の水溜りに転んじゃうシーンは記憶ありましたが。
 モリアーティ教授が死んだ後の話なんですね。滝つぼに落ちた後ですか。
 そのショックで予知夢を見るようになったのか? あの予知夢では推理の手助けにはならないけどね。怖いだけだxx 前半のぼろぼろのホームズさんが可愛かったですね。
 逆に段々ぼろぼろになるサイモン卿が………。
 7年間あんなところに追いやられて生き抜いた元奥さんが凄い! それにしても石積みを崩れるようになんて細工よくできたなぁ。
 フローラ・ミラーさんは可哀想ですが、あれはあれとして因果はめぐるのお約束か。あんな男を好きになったばかりに……xx
 ハディ嬢ちゃんは豹(クーガかな? アメリカにもいるとかって言ってたけど。クーガはいたよねたしかアメリカに………でも、クーガに薔薇斑あったっけ?)に眼力勝負で勝ったのかさすが鉱山育ち。気の強さは半端じゃないのね。
 久しぶりに見たけど面白かったvv


 で、『謝肉祭の王 玩具館綺譚』 by石神茉莉 も、完読♪
 なんだか物足りない感じでしたね。
 主人公の女性が書くホラーとお隣の状況がシンクロしていくところとか面白かったけど、なんかちょっとあっけなかった。
 キャラクターがどの人も魅力的だっただけに残念感が強いです。
 コージーホラー? そういうのがあるとしてだがvv
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