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2019/01
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味方 身方 御方 見方
 いつもご来訪&拍手ありがとうございます。

 ゆめにっきというほど夢日記ではないので。ただ、夢に祖母が出てきたってだけですが。いつもの表情でしたけどね。何か言いたいことがある? ちょと不安になるよねぇ。
 それにしても、父にしても祖母にしてもですが、うお里の夢はそんなに波長が合うのか? それとも、心配されているのだろうか。ううむ。どっちも正解な気がしないでもない。ああ。ちょっとしんどいです。正直。

 んで、タイトル。

 最近のなろうやらアルファポリスやらで見かける誤表記に「見方」がありましてね。うん。タイトル見ればわかると思いますが。
 敵味方の味方なんですよ。
 それを、見方と変換かけてるのかミスに気づいていないのか………。かくいう私も、変換ミスに気づいていない見方があったので、直してきましたけどvv

 ちゃんと調べましたよ。

 味方、身方は、みかたの当て字だそうで、どうやら御方が正式なのかな? 読み違いだったらどうしようxx

 久しぶりに「はぐれびと」を更新してきたら、発見しちゃったのでぐるっとしてましたvv あれってこっちに乗せてましたっけ? あれ? 記憶がやばい。です。はい。


 一応アップしておこうかな。以下です。半年くらい放置してるなこれxx





*** 心地良い場所 ***







 名を交わして二日目の朝だった。

 ヤヒロと名乗った男の先見が正しいのであれば、彼を迎えに来るものが現れるだろう。

 しかし、ヴァルムはそんなことなど忘れてしまったかのようにぼんやりと泉の向こう側を凝視していた。

「それで、ヴァルム・ジャルディ殿? あなたは何を悩んでいるんだい?」

 ひとがあまり近づきたくないものの棲家に何度も近づいたりして。

「違う? 長モノなんて、あなた、苦手でしょ?」

 奇妙な空気を無造作に破り、ヤヒロと名乗った男が問いかけてくる。

 どこか呆れながらも楽しんでいるような雰囲気さえ滲む問いかけに、ヴァルムの眉間に皺が刻まれる。

「俺は、騎士、だ」

 ひねり出すようにしてそう告げる。

「うん。それで?」

 なんでもないかのような応答に、

「騎士であるからには、剣が、いる」

 はたと気づいたのか、軽く手を打ち鳴らし、

「ああ! 長モノが守る長モノが欲しいわけかぁ」

 察しが悪くて申し訳ないかな。

 まぁ、元来僕には必要のなかったものだからね。それも仕方ないと思って欲しいな。

「見えて、いるのか?」

 見えていなければ、大蛇が剣の近くにいることなどわかりはしない。

「う〜ん。この目は、見えて、は、いないよ。ただ、感じるんだ。あなたは感じないのかな? かなり、あれは………物騒な得物だよ?」

 疑問風に跳ね上げたヤヒロの語尾に、促されるかのように眇めた目で剣を見やる。

 くっきりと黒い洞窟の中ほどに朝日を浴びて煌めく宝の山がいくつもある。その一つの頂上にまるで墓標ででもあるかのように突き立つ一振り。

 残念なことに、ヴァルムにはただの剣としか見えない。しかし、あれでなければならないのだと、心の底から湧き上がるものがあった。

「それでも、あれが欲しいの? もうすこしだけ我慢すれば、普通の剣が手に入るよ」

 多分、いいもの、業物ってやつだと思うけど?

「だとしても、俺は、今、あれが、欲しい」

 噛み潰すかのようにして押し出した声に、

「まぁ、いいけれど。あれは、ほんと、かなり物騒なんだよねぇ。あなたがあれに選ばれたってことなのかなぁ?」

 小さく、確認するかのようにつぶやく。

「どうしても?」

「ああ」

 欲しい−−−と、絞り出す。

「あの子は鋭いから、あなたが近づくとすぐ目を覚ますものね」

 この二日、ヴァルムは何度も試したのだ。

 小刻みにうなづきながら、大蛇を己の知り合いの子供であるかのように評する。

 そんなヤヒロに、

「頼む。アレと喋れるのだろう。説得してくれ」

 ヴァルムがまくし立てる。

 そんな彼に呆れたように肩をすくめて見せると、

「いいよ」

 後悔しなければいいね。

 拍子抜けするかのようにあっさりと、諾なって見せた。

「………あの口説のどこまでが本当のことなのか」

 ヴァルムが呟かずにはいられないほどにするすると、ヤヒロは下草の上を無造作に進んでゆく。

 それに気づいたのだろう、ゆらりと立ち上る靄にも似た動きで、宝がうっすらと放つ光の向こう側に大蛇が姿を現した。

 ヤヒロが手を差し広げる。

 彼の何人ぶんあるだろう、その巨大な口を開ければ、ヤヒロなど苦もなく飲み込めるだろうに。蛇は他愛もなくその前にひざまづく−−−ひとであればそうとしか言い表せないような恭しさを見せる。

「いい子だね。とても綺麗な鱗だ。手触りがとてもいいね。色は、なにかな? 漆黒? ああ、昔の知り合いを思い出すよ。あの子もとてもいい子、優しい子だった。うん。情が深くてね。それで、身を滅ぼした」

 とても、かわいそうな最期だったよ。

「君たちは、情が深いからいつもそれで身を滅ぼしてしまうんだ。そう。そうなんだね」

 僕はいつだって、見ているだけだった。

 それなのに君たちは僕を慕ってくれる。

 僕に救いを与えてくれる。

 守ろうとしてくれる。

 僕もずっとここで君たちと一緒にいたいのだけれど、それもできない。

 僕がいることが、君たちの害になってしまう。

 わかっているけれど動けないのは、ここが心地良いからなんだ。

 君にとって悲しみの場所が僕にとっては居心地のいい場所なのは、皮肉だけれど。

 もう少し、もう少しだけ、ここにいさせてくれるかい。

 代わりに、君を呪縛するものを取り去ってあげるから。

 これくらいしかできないけれど。

 それでも、君がここに留待ってしまう原因を消し去ってあげる。

「その、剣−−−を」

 ヴァルムには聞こえなかったそれまでのささやきとは違う一際大きく響く声が単純な旋律をとるのと同時に、鋭くもひどく優美な動きで右腕が弧を描いた。

 左手は未だ大蛇に触れたままで、右手だけが泉の反射を帯びて舞う。

 それはそれまで不器用な動きを見せていたそれとはまるで別物であるかのような動きだった。

 ほんのささやかな間だけの優美さは、しかし、ヴァルムの記憶に深く刻まれた。

「死によりて神聖を貶めたる愚者を」

 ヤヒロが次いで紡いだ言葉をヴァルムが聞き取ることは不可能だった。

 目の前で行われていることを正確に理解することさえもできないでいた。

 突然のことだった。

 聾がわしい音を立てて、剣を突き立てられた宝の山が崩れ落ちてゆく。

 宝のいくつかは泉に転がり落ち、いくつかは地面へ。

 そうして現れたのは、古い人骨だった。

 己を貫く刀身を握りしめた形のまま事切れたのだろうそれは、支えであった宝を失うことによって脆い音を立てて砕けて散った。







 それと同時だった。

「いたぞ」

「こっちだ」

「ヴァルム・ジャルディを見つけたぞ」

と、いくつもの大声がその場の空気を打ち砕いた。

「ああ」

 嘆かわしいと言いたげな声がヤヒロの口から聞こえてきた。

 いずれも武装した狼藉者たちがヴァルムを見るや飛び込んでくる。

 舌打ち一つで泉を回り込むことすら惜しみ、ヴァルムが剣は握りしめた。

 殺されてやる気などありはしなかった。

 裏切り者など皆殺しにしても悔やみはしない。

「もらい受ける」

 大蛇に向けて言ったのか、ヤヒロに向けて言ったのか、判然としないままヴァルムは言い退けざま剣を振るった。

 斬られた男の悲鳴に被さるように、大蛇の存在にようやく気付いた男たちが悲鳴をあげた。

「遅い」

 剣が手にある。それだけのことで嬉々としてヴァルムは敵と相対した。







「心地良い場所だったのに………」

 もとよりヴァルムが出てゆくのを見届けた後に出て行くつもりではあったものの、気に入りの場所にこうした狼藉を受けてしまうなど、なんとも切ない。

 洞窟の天井を見上げて、手で顔を覆った。

「僕は戦うことなんかできないんだけどね」

 溜め息を吐く。

 吐きながら独り言ちると、襲いかかってきた男を大蛇がその顎(アギト)に迎え入れた。


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