いつもご来訪ありがとうございます。
ということで、チャレンジ2題です。
1題めは、とり天カレーうどんです。この間挑戦し損ねたので、ひとりでまはろさんに行ってみましたvv
とりあえず、780円だった。

お味は、評判になるくらいおいしいのがわかりました。
なんせ、うお里がカレーうどんを初めておいしいと思ったので。
辛口のカレーですね。スパイシー。家に帰っても暑さが引かず、掃除してたら汗が出てきました。それくらいスパイシー。まぁ、もっと辛くないとってひともいるかもしれませんが、うお里的には、充分すぎるスパイスでした。
あとやっぱり、見た目もエッジが効いてますが、しっかりコシのあるおうどんで嬉しかった。やっぱりこれくらいコシがないとね〜。うん。
んで2題めは、栗の甘露煮なんですが〜失敗です。はい。もっと渋皮を綺麗に剥かないとダメなのかもしれない。のと、レシピ通りにしたのに、煮えず、途中で自己流になったっていうのがあります。あれは、レシピになかったが、もしかして蓋が必要なのかもしれない。まぁ、砂糖がなくて仕方なく蜂蜜も混ぜたりちゃんぽんになったところもあるんですけどね。色々と。

そんなわけで、見た目が微妙に里芋の煮っころがし風な栗の甘露煮もどきになりましたorz
今度はもっと丁寧なレシピを見つけようorz
反省点でした。
そんなこんなで、今日はうお里にしては活動的な1日というか半日。
色々とセルフクリーニングにも行ってきましたし。雨が降ったりやんだりなんだけどね。
カーペットを洗ったんだ! うん。今敷いてますが、気持ちいいです。さすがに。
以下、『暫定 無題』8回目のケイティ視点改訂版です。
*****
一通の手紙がわたしの手から落ちた。
「ピアノが………」
どうして。
滑らかな光沢を宿す黒いボディの所々に傷が刻まれている。
無残な傷跡からは、地の黄土色の地肌までもが顔を覗かせている。
ブランド名を確認するまでもなく、鍵盤を軽く叩くことで飛び出してくる音色で、とても高価なピアノだとわかった。それよりもなによりも、以前の持ち主がどれほどこれを大切にしていたのか、それを偲ぶことができる滑らかな鍵盤の手触りだった。
おそらく、これ一台売れば、立派な家を建てることができるだろうほどに高価な。
そんな途方も無いものを−−−と、息を呑んだ。
それ以来、アークレーヌさまから譲り受けて以来、日に最低一時間は触れていたピアノだった。
侍女が言うにはアークレーヌさまのピアノの腕前はとても素晴らしいものだったらしい。
直接耳にするのはウィロウさまやバレットや側近たちぐらいだっただろうという話だけれど。時折り居間で弾いていらっしゃる音色が開いた窓から庭に漏れ聞こえることがあったそうで、その時には誰もが仕事の手を止めてしまうほどの美しい音色を奏でられていたという。
それは決して、ピアノの性能のせいばかりではなかったのだと。
仕事上のミスに震える心が静まったことがあったと、仲良くしていた相手とのすれ違いに心が張り裂けそうな時、怒りに煽られていた時、偶然耳にしたピアノの音色にどれだけ心が安らいだだろうと、しゃべってくれたのは侍女たちだった。
御曹司であるからピアニストになることはないだろうけれど、それでも、アークレーヌさまのピアノを偶然にではあれ聞くことは彼女たちの間では”ゴールデン”と囁かれ、ひそかな楽しみとなっていたという。
段違いに上手な方と比べられるのは恥ずかしかったけれど、大切な手を傷つけてピアノを弾くことができなくなってしまったアークレーヌさまから譲り受けたのだからせめて一日一度は触れるようにと心がけていたのだ。
「痛い………」
無意識に撫でていた天板のささくれ立った棘が、指の先に刺さる。
エドナがいなくてよかった。
そんなことを思う自分にハッとする。
どうも今日はようすのおかしいエドナに部屋で休むように言って別れたのは二時間ほど前のことだった。
アークレーヌさまのお部屋を後にして、でもでもと繰り返すエドナを南の領域の一階にある彼女の部屋へと送って行った。そうでもしなければ、頑としてわたしの部屋に来るような、そんな表情をしていたからだ。
「ね。今日はゆっくりお休みなさい。たまにはわたしの相手をしなくてもいいのよ。毎日べったりひっついていたりしたら、誰だってちょっとくたびれちゃうでしょ?」
そう笑って見せたわたしに、
「でも。それが、わたしの仕事で存在意義ですから」
と、尚もついてこようとする彼女の肩を押しとどめたわたしの頬が引きつっているだろうことが感じ取れた。
そう。
仕事なのよね。
お友達でいる仕事。
それが、レディース・コンパニオンの存在意義だとはわかっている。
エドナは無意識だろうけれど、だからこそ仕事と面と向かって断じられてショックを受けないほどわたしの心は強くは無い。
彼女の部屋のドアの外で立ち尽くして、動けなくなる。
どうしよう。
こういう時どこにも行くことができない自分に気づいた。
今朝の散歩のお叱りというか、注意は侍女長から受けた。
曰く、適度な散歩はいいが、長時間ひとりでなどと、貴族の奥方として、それ以前に身ごもっている女性としてありえませんと。
ヒースの荒野と羊の放牧地との境目の細い道。
あそこでなら、なにか解決策が浮かぶのではないかと思えるのに。
途方にくれる。
ウィロウさまにお会いしたい−−−と強く思った。
その思いがだんだんと強くなってゆく。
お会いできなくなってどれくらいになるのだろう。
同じ敷地で暮らしているというのに。
今暮らしている同じ領域の奥にウィロウさまのお部屋はあるというのに。
お会いしたくて。
せめて、お顔を見たくて。
お声をお聞きするだけでもいいのに。
こみ上げてくる切なさに、足が惑う。
行こうかどうしようかと。
冷静に考えれば、きっとウィロウさまは西の領域にいらっしゃるのに違いないのだけど。この時のわたしは、東の領域にいらっしゃるに違いないと勘違いしていたのだ。
グラウンドフロアには下りず、緩やかにカーブを描く大階段をゆっくりと上る。
天窓から降り注ぐステンドグラスに染まった陽光がとても美しかった。
ゆっくりと、一段一段登って行く。
ウィロウさまにお目にかかろう。
わたしはそのことしか考えていなかったのだ。
そうして、それは、たやすく叶えられた。
あまりにも拍子抜けするほどに、あっさりとお会いすることができた現実に、わたしはすこしだけあっけにとられていたのに違いない。
規則正しい靴音に足を止め、振り返った。
そこには、見覚えのある男性がいた。
男性の容姿をどうこう言うなどはしたないことなのだけれどあえて言うなら、わたしがミスルトゥ館で見かける男性使用人は庭師や馬丁以外を除けば上級使用人だけなのだけれど、総じて整った顔をしている。その中でも一二を争う美男子がハーマンとハロルドだろうと思う。ハロルドの一見穏やかなようでいて芯の通った厳しい美しさに侍女たちは気後れする様子を見せていたが、ハーマンはまだ二十代前半ということもあってかストイックなお仕着せに身を包んだせいで逆にその色香が増して見えるらしく逆に侍女たちの憧れを掻き立ているようだった。しかし、それはあくまでも水面下のことで。アルカーディ家の分家にあたるらしい男爵家子爵家をはじめとした下級貴族や郷士、商人、豪農の家から行儀見習いに来ている彼女たちは密やかに色めき立ちはするものの、あえて色恋へと行動を移すことはなかった。そうだろう。身を謹んで勤めていれば、侍女長や家令が当主に相応の縁組を進言してくれることさえもあるのだ。公爵の許可した縁組は、彼女彼らにとっては将来を約束されたようなものなのだから。下手なアバンチュールは身を持ち崩す原因にしかならない。少なくとも、ここ、アルカーデン公爵家ではそう考えられているらしかった。
ともあれ、後ろから銀の盆に茶器を乗せて階段を上ってきたのは、ハーマンだった。
わたしが途中で足を止めたことにハーマンがほんの少し首をかしげたように見えた。その時整えられた前髪がほんの少しだけ額に乱れかかる。
「奥方さま、どうかなさいましたか」
スラリと背筋の伸びたとても美しい立ち姿で、ハーマンが声をかけてくる。その声の甘やかなこと。侍女たちが色めき立つのがわかるような気がした。
「奥方さま?」
訝しげな声に、
「ウィロウさまにお会いしたいのです」
我に返った。
「それでございましたら、西の領域二階の奥までご案内いたしましょう」
どうぞ。
そう先導してくれるハーマンの後に続きながら、ああそうだったと、自分の思い違いを少しだけ恥ずかしく思ったのだった。
「ウィロウさま」
とてもお懐かしい心地で思わずつぶやいていた。
ウィロウさまは書斎の窓を背に黒檀の重厚な机に向かっていた。
「レディ」
手にした書類を机の天板に置くのと、私に向かって呼びかけてくるのとがほぼ同時だった。
どうして名前を呼んでくださらないのだろうとほんの少しさみしかったけれど、わたしにこの館の女主人としての自覚を持つようにと敢えてそう呼ぶようにしてくださっているのかもしれないと、気を取り直す。
「どうなさいました」
他人行儀な優しい口調で問いかけながら机を回り込みわたしに近づいて、両手を握りしめてくださる。
「また、なにか起こりましたか?」
男性のものにしては節の目立たない白く滑らかな手が、不意に、いずれかの夜のことを思い出させた。刹那背筋を舐め上げるように駆け上ってゆくその感覚に、小さな戦慄が走り抜けた。
「いいえ。いいえ。………………ただ、ただウィロウさまにお会いしたくて………」
声が小さくなったのは、羞恥のせいだろう。
我慢の効かない頑是ないありさまと、それとは別に不意に駆け上った戦慄を知られはしないかと。
「ああ。しばらく忙しくて、レディとの時間を作れませんでしたからね」
口元までわたしの手を持ち上げて、指先にくちづけてくる。
まるで天鵞絨のようなそのやわらかな感触に、耳の付け根が熱くなった。
きっと、顔が赤くなっているのに違いない。
「こちらへ」
そのまま導かれた先には、革張りのソファがあった。
「ハロルド、ハーマン、しばらく誰も通すな」
ウィロウさまの言葉に、わたしは部屋にふたりがいたことを知った。
ふんわりとしたソファに背中を包まれながら、これ以上ないくらいにわたしは真っ赤になっていただろう。
なぜなら、そのまま、わたしはウィロウさまに抱きしめられたからだ。
そうして−−−。
気だるさを誰にも見咎められないように自分の部屋へと戻ったわたしは、床の上に落ちている手紙を手に、居間に入った。
そこでわたしを待ち受けていた光景は、それまでの幸せな心地を粉々に打ち砕くものだった。
***** 一応 本タイトルが決まりつつあるかもしれません。あまりといえばあまりなタイトルなんですが、今の所『宿り木の館』ってところかなぁ。まだ本決まりじゃないですが。一応これかもしれないって程度ですけどね。