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2016/04
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 いつもご来訪&拍手コメントありがとうございます。レスは先日のメールでということで失礼しますね。

 「ダンタリアンの書架」の1回目が無料だったので視聴してみました。
 20c初頭のイギリスらしい国が舞台で、ヒーローは爵位を継いだばかりの元? 飛行機乗りで結構ハンサム君だったのですが。
 ヒロインらしい精霊? 少女がツンツンデレで、萎えちゃったうお里です。灰原哀と同じ声優かなぁ?
 いっちゃなんですが、ツンデレ、ツンツンデレ、飽きました。その上ヒロインが少なくとも見た目がロリだと………上から目線になんだかなぁって。
 おそらくは原作少年向けのヤングアダルトだろうなぁと思うんですが、どうだろう? 違っていたら申し訳ないです。
 背景とか力入ってただけに、残念でした。
 Kindleで観れたのでつい見てみたんだけど、残念至極だったです。


 んでもって、AIRの続きですが、細々と書いてます。なんかひたすら長くなる。終わらない。キャラが難しいぞ。動かんxx

以下

*****


 視界を遮ろうとする霧が、より深くなった気がした。
 尋の幼い手が不安に胸元を泳ぐ。
 不安のたびに”お守りだ”と持たせられたそれに手が伸びるようになったのは、この結界で暮らすようになってからだということに彼は気付かない。
 しっとりとした霧が尋を湿らせる。
 からだを震わせ飛び出した咳が、ゆたりとした霧のながれを乱す。そのはずみで、ペンダントが音を奏でた。
 まるでそれが合図だったとでもいうかのように、霧のながれが止まったのは、まさにその刹那の出来事だった。ゆるく作ったミルクゼリーのようにほんの少しだけ密度を増したかのようすを見せた霧が、音色を吸い込んだかの錯覚ののちに、すみやかに質量を減らしてゆく。
 瞬きをふたつするほどのわずかの間に、あれだけ尋の視界を遮っていた霧は消え失せたのである。

「え?」

 突然の変化に、たとえそれが良い方の変化だったとしても、戸惑わずにはおれない。
 寸暇の戸惑いはそれでも、すぐに消え去った。
 尋の耳に届いたのが、懐かしい音色だったからだ。
 そこにあるのが、寝殿造りなどではない普通の家だったからだ。
 竹を交差させて作った古い趣のある塀の網目から赤目の色づいた葉がわさりと道に侵略の手を伸ばそうとしている。塀の途切れた木の柱にはやはり木で作られたピアノの形をした表札のようなものが打ち付けられていた。
 柱の影から奥を覗き込めば、子供用自転車がふたつばかり並べられた玄関先になっている。ピアノの音はその磨りガラスの引き戸の奥から聞こえてきていた。
 いけないことだとは承知していた。
 それでも。
 それでも、だった。
 ここは、日常だと肌で感じ取るまでもない。
 かつて、尋が当然として暮らしていたのとほぼ同じ世界なのだ。
 あの歪な、ふたりだけの空間ではない。
 わかっていた。
 尋の幼い感覚でも、それらは理解できるのだ。
 黒狼とだけいる世界がどれだけ歪なものなのか。
 黒狼が自分にだけ向けてくる、よく分からない感情が、どれほどまでに歪んでいるものなのか。同時に、それに取り込まれてしまっては、自分はもうおしまいなのだと。
 言葉にすることができなくても、本能的に、理解していた。
 だからこそ、耳に届くあのヒーローものの主題歌をもっと聞いていたかったのだ。
 誰が弾いているのか見てみたかったのだ。
 決して上手ではない手だったけれども、それでも、その音色は尋の心に染み透るものだった。
 温めてくれるものだった。
 だから。
 だから、尋は玄関先にまで繁る赤目の隙間から他人の敷地内へと忍び込んでしまったのである。


*****


「主さま?」
 わずか数時間の留守だった。
 結界に尋を迎えることにより、己もまた貴としての名乗りをあげぬわけにはゆかなかった。
 己の心の中では尋こそが主であるという揺るがしがたい事実は、貴に受け入れられるはずがない。己もまた貴としては新参者に過ぎないのだ。己に心臓の片方を無理やり譲り人との最期を選んだ先代、夜尋(やひろ)に代わるものとの名乗りすらあげてはいなかった。それでは意味がない。黒狼自身は尋と篭っていてもなんら構うことはないのだ。しかし、結界の凍結が解けたことはすでに他に知られていよう。

 以前のように力で他を支配する時代ではないのだと、夜尋のものである知識が黒狼に告げる。
 それであっても、やはり、力の強い貴が力の弱い貴を己の支配下に置くか滅ぼすかしたいという欲望は、消えたかに見えてもチリチリと周囲を焦がす熾火のような密やかさで存在しているのだ。
 それを抑えるのは、ただひとつ。
 かろうじて持ち得ている、種の存続を求める本能であったろう。
 強い力、永遠をも望める生、それらのために、貴は滅びに惹かれる傾向にある。他者を打ち負かすことに生きがいを感じてしまうのだ。
 己が滅びる方であるのか相手側が滅びるか、危うい綱渡りを承知の争いを繰り返す時代に、このままでは、貴は滅ぶ。
 それを唱えたのはどの貴であったのか。
 嘲弄と共に迎えられたその主張が真実であるのだと、どの貴が危惧を抱いたのか。
 そうして今ひとつ。
 ひとの短い生に魅せられ、共にあり共に滅びたいという欲求に気づいたからこそ、貴は一時この世界から姿を消すことを選んだのだ。
 滅びに魅せられながら、力を求める。
 この背反した欲望は、貴という存在そのものなのだと。
 それを認め、自制のきつい戒めを築き上げたからこそ今の貴はあるのだ。
 この世界へと帰還したのだ。

 新たなる後継を放置することはまずない。
 名乗りを上げぬままでは、いられない。
 名乗りを上げぬ理由が主であると思われれば、狙われることになるだろう。狙われれば最後。今の主では抗う術すらないのだ。
 尋を待ち受けるのは、おそらくは、死。
 ようやく見出した主を、再びは失えない。
 であればこそ、黒狼は、重い腰を上げたのだ。

 それが、二年前のこと。
 一年に数度ある会合を欠席するわけにもゆかず、主を置いて結界を出た。
 もちろん、結界を強固にすることは忘れなかった。
 それなのに戻ってみれば、主の気配は結界から消え失せていたのだ。
 何があった。
 結界内に意識を張り巡らせる。
 そこここに残る主の気配をたどりゆく黒狼の涼やかな眉間に、苦悩の陰りが刻まれてゆく。
 主の気配のどれからも、己に対する不信が感ぜられたからだ。
 不信であり、苦痛であり、恐怖でもあった。
「毫ほどの信頼も与えてはくださらないのですね」
 二年。
 人間にとっての二年は長い。
 ことに子供にとっては無視できないほどに長い時間のはずである。
 だというのに、この二年の間に、主は、この身に対する負の感情ばかりを募らせていたというのだ。
 黒狼の赤いくちびるが、まるで能面のような嘲笑を刻んでゆく。
 心胆寒からしめるかのような壮絶な表情は、再び結界に霜を結んでゆくかのようであった。
 

***** こんな感じですね〜。下手したらBLの百合ですか? これ。めんどくさい男になったなぁ、黒狼。
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