いつもご来訪&拍手ありがとうございます♪
とりあえず、更新行く前に、写真でも。
久しぶりに茶々丸さん♪

ビオトープ擬きから引き上げた何かの植物とvv
んでもって、今日のお昼に作ったグリーンカレー。

作りかけの画像。具が多かったかな〜色がいまいちわからない。久しぶりで美味しかったです。
んでは、以下、29回目。30回目だっけ? あれ?
勇者一行の姿はぼろぼろだった。
おそらく、彼らの力は魔たちに比べればそれほど強くはないのだろう。どこにいたのか知る術はないが、一度ですぐさまここへと駆けつけるほどの力がなかったのがその証拠だった。
唯一勝っているかもしれないのは、彼らが集めることので来た兵の数かもしれない。
数を頼りに魔族や魔物に討ちかかって行っては弾かれる。
魔物の放つ力に傷つきその場に頽れる。傷で済めばいいが、死んだものの大勢いるだろう。
圧倒的な力の差に、勇者たち以外の兵たちは、あきらかに怯えを孕む。
あの黒い城に残るものたちは、人間で言えば、少数精鋭、近衛兵とでも言うべきものたちなのだろう。いくら数で勝ってはいても、力の差はいかんともしがたいに違いない。
魔の王を讃える歌を歌いながら、ガーゴイルが羽を広げ、空を舞う。
その歌自体が見えない刃物となって、降り注ぐ。
これだけでも相当なダメージだ。
それでも。
俺は、彼らの方へと、逃げる人波を避けて走っていた。
頬や腕、全身を鋭い刃物で引き裂かれるような痛みに襲われながら、それでも足は止まらなかった。
額や頬を濡らす血を拭いながら、どんなに走っただろう。
こどもの身体はこういう時不便だと、奇妙な感覚に襲われたが、それは遅々として縮まらない距離のせいだったのかもしれない。
俺がそこにやっとたどり着いた時、音をたてて白亜の城が崩れ落ちた。
土煙が舞い上がり、城の外壁が大小様々な雹のような礫となって降り注ぐ。
何が起きたのか。
いや。
どうしてこうなったのか。
ガーゴイルたちの歌声が止んでいた。
戦いの雄叫びも悲鳴も、なにもかもが不自然に消えたその静寂を彩るのは、礫の音。ただそれだけだった。
そうして。
俺は、見た。
土煙にけぶる視界に、艶めかしい闇を。
閉ざされていた黒い城の門扉が開け放たれていた。
“それ”を彩るかのような金の魔獣にまたがった、夜を司る闇の主。
“それ”は、ひとでも、魔王でもない。
“その”恐怖は見る者を、魅了しもする。
“あれ”にならば殺されてもいいと。
“あれ”になら、喰らわれてもかまわないと。
静かでありながら、暴力的なまでの魅惑を宿す存在。
まさに、神だった。
見る者の胸の奥深く、要らぬ恐怖を蘇らせる、神。
その魅惑故にひとびとから忌避されるのだと、理由をまざまざと見せつけながら、
「飽いた」
そのことばを朱唇が紡いだ。
朗とその場を支配するのは、滑らかな手触りの絹のような、しかし、それを幾筋も縒り合わせて作った鞭のような、声だった。
「魔力は使うまい。その方らの流儀にのってやろう。勇者を名乗るなら、来るがいい」
何気な以下の要に差し出された掌に、一振りの剣が現われた。柄を握り、鞘を抜く。
「言われるまでもない」
心の底からの恐怖が、その声に消える。
ああ彼女だ。
割れた兜の下、印象的なサルビアの髪がこぼれ波打つ。
知るはずもない勇者なのに。
涙があふれるほどの慕わしさが沸き上がる。
互いに騎獣と馬の背から降り、どちらからともなく数合の打ち合いをはじめた。
魔もひとも、周囲はただ固唾をのむだけだ。
誰も手出しをできない最後の戦いだと、誰もが予感していたのだろう。
闇の美貌の中、朱を宿す艶めかしい口角がもたげられてゆく。
楽しんでいるのだと。
決着を付ける重要な最後の戦いだというのに、本気は感じられない。
殺意は微塵も感じられなかった。
魔王、いや、魔神は勇者との剣戟をただ無聊を慰めるゲームのように楽しんでいるだけなのだと。
不意の一振りを持ちこたえたものの、勇者がその場に腰を落とす。
腕がしびれているのだろう。
魔が得物を使うことなどありえないというのに、その不慣れだろう剣捌きに、勇者があきらかに圧倒されているのだ。
助けたい。
勇者を守りたい。
不相応にも、俺はそう思った。
けれど、たった五つの俺に何ができるだろう。
足手まといになるだけだ。
考えるまでもない。
それでも。
駆け出そうとしたその時、
「その赤の髪か、その空色の瞳か」
魔神の生々しいまでの感情が、その場を支配する。
憎悪だろうか?
なにかが違う気がして俺の足が止まる。
「我が子を誑かし殺したは、そなたのその色か」
「っ!」
勇者が息を呑む気配があった。
「その首を貰い受ければ、あれも愛でようか」
それとも、嘆こうか。
それと知らずこぼれたようなつぶやきは、魔神の隙となった。
「知るかっ!」
全身の発条(バネ)を使い立ち上がった勇者が切り掛かる。それをいとも容易く跳ね返し、
「その首我が貰い受けよう」
横薙ぎに剣を払った。
「危ないっ!」
思わず出た叫びだった。
それが、魔神に再びの隙を作らせるなどと、俺が知るわけもなく。
俺は、呆然と、それを見た。
魔神の金の瞳が俺を捉え、見開かれたのを。
そうして。
勇者の剣が、過つことなく魔神の心臓を貫いたのを。
俺は見たのだった。
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