2012-10-31(Wed)
いつもご来訪&拍手ありがとうございます♪
「秘密」12巻までとりあえず。よ、よかった。あの救いのないラストに向かうかのような前ぶりが〜。そ、そうか。しかし、これ、どう読んでも、両思いだよね〜。ま、まぁ、あんなめんどくさい男止めときなさいと青木さんには言いたいが、惚れたもんはしかたないですよね。あくまでプラトニックってあたりが、業が深い気がする。どれだけでも美化できるもんな。遠距離だし。しかも、雪子さん、誰かと結婚してるし。いや、雪子さんが幸せなのはいいんですけどね。ただ、青木君の幸せが〜。哀れだ。が、本人はそれでも幸せなんでしょうねぇ。
さてさて、今日はちょこちょこと、「ブラコン」を書いてました。
少しだけね。
眠くなったので極道にもぶち切れですが。
昨日も眠くて6時に寝た魚里。このごろどうしたんだろう?
それでは、以下、お目汚し。
※ ※ ※ ※ ※
気がつけば、総ては弟のものになっていた。
可愛い弟。
けれど、時々憎たらしくてたまらなくなる。
嫉妬だった。
何もかもを持っている弟に対する。
何もかもを自分から奪っていった弟に対する。
醜い感情に戸惑いながら、それでも、メルロッサは、ユーベルを可愛がっていた。
可愛いと思う心も、また、真実だったからだ。
けれど、時々。
たまに。
自分に弟なんかいただろうか。
そんな疑問が頭をよぎることがあった。
そんなことない。
打ち消しても、時々ふっと、浮かんでくるのだ。
自分には弟なんかいなかった———と。
メルロッサはからだに掛け布団をまきつける。
寒くはないが、心細い。
薄暗い部屋は、広さだけはたっぷりあって、思ったよりも空気は乾いている。
それでも。
光源は高い天井部分にある嵌め殺しの硝子窓だけだった。
昔の当主が恋人との逢瀬に使っていたという地下室の片隅で、メルロッサは小さく蹲っていた。
弟は、可愛い。
誰よりも、可愛く、きれいで、賢い。
だから、みんなが弟を好きになってもしかたがない。
そう。
自分みたいに、醜くない。
だから、弟をみんなが可愛がっても、しかたがない。
だから、総てがユーベルのものになってもしかたがない。
跡継ぎはユーベルなのだと、母の口がゆっくりと動いた。
ほんの少し前のことだった。
ユーベルが、寄宿学校に行くと言って、馬車に乗った。
見えなくなるまで、メルロッサは馬車の後ろを見送っていた。
その後すぐだ。
部屋に戻ろうとしたメルロッサを、母は地下室に閉じ込めた。
これから、ここが彼の部屋なのだと。
どんなに泣こうと、声が出ることはない。
だから、メルロッサは必死にドアを叩いた。
誰も、来ることはなかった。
真っ赤になった手をさすりながら、メルロッサは、涙を流した。
※ ※ ※ ※ ※
薄暗い部屋の中、白い顔がぼんやりと浮かび上がった。
悲鳴が喉の奥で小さく弾ける。
口を両手で押さえて、小さな顔の中大きな瞳が、それを凝視した。
瞳と同じ色のドレスをまとった幼い少女が、部屋の中で、立ち尽くす。
ドレスの色よりも顔を青ざめさせて、それを、彼女が恋い慕う養い親を凝視する。
「この部屋に入ってはいけないと、言いませんでしたか」
声だけはやわらかく、しかし、養い親が静かに憤っているのだと少女には感じ取れた。
口を開こうとして、
「謝罪は結構ですよ」
遮られた。
いつもこうだった。
冷たい手の持ち主は、やさしい声で、彼女を拒絶する。
その深い紫紺のまなざしは、自嘲を宿して彼女を見下ろすのだ。
「あなたは違いますからね」
「なぜでしょう」
「間違うなどありえないのですよ」
やっと、戻って来られたと、戻ってきてくれたと、そう思ったのに。
なぜ、あなたなのでしょうね。
そう言われて、何度泣いたことだろう。
自分は、彼を失望させているのだと。
痛いくらいに感じた。
今もまた。
黒曜の城の奥深く、空を映したその扉は、王以外には立ち入ることができない。
わかっていて、彼女は踏み込んだのだ。
そこに、王の失望の原因があるのだと、そう誰かにこそりとささやかれたのだ。
誰かは知らない。
たくさんいる魔者のひとりだ。
彼女のことを決して好いてはいない、大勢の魔者たちのうちの誰かひとり。
噓だと、騙されているのだと、危惧はあったものの、知りたかった。
だから、忍び込んだのだ。
そうして、彼女は、見た。
「秘密」12巻までとりあえず。よ、よかった。あの救いのないラストに向かうかのような前ぶりが〜。そ、そうか。しかし、これ、どう読んでも、両思いだよね〜。ま、まぁ、あんなめんどくさい男止めときなさいと青木さんには言いたいが、惚れたもんはしかたないですよね。あくまでプラトニックってあたりが、業が深い気がする。どれだけでも美化できるもんな。遠距離だし。しかも、雪子さん、誰かと結婚してるし。いや、雪子さんが幸せなのはいいんですけどね。ただ、青木君の幸せが〜。哀れだ。が、本人はそれでも幸せなんでしょうねぇ。
さてさて、今日はちょこちょこと、「ブラコン」を書いてました。
少しだけね。
眠くなったので極道にもぶち切れですが。
昨日も眠くて6時に寝た魚里。このごろどうしたんだろう?
それでは、以下、お目汚し。
※ ※ ※ ※ ※
気がつけば、総ては弟のものになっていた。
可愛い弟。
けれど、時々憎たらしくてたまらなくなる。
嫉妬だった。
何もかもを持っている弟に対する。
何もかもを自分から奪っていった弟に対する。
醜い感情に戸惑いながら、それでも、メルロッサは、ユーベルを可愛がっていた。
可愛いと思う心も、また、真実だったからだ。
けれど、時々。
たまに。
自分に弟なんかいただろうか。
そんな疑問が頭をよぎることがあった。
そんなことない。
打ち消しても、時々ふっと、浮かんでくるのだ。
自分には弟なんかいなかった———と。
メルロッサはからだに掛け布団をまきつける。
寒くはないが、心細い。
薄暗い部屋は、広さだけはたっぷりあって、思ったよりも空気は乾いている。
それでも。
光源は高い天井部分にある嵌め殺しの硝子窓だけだった。
昔の当主が恋人との逢瀬に使っていたという地下室の片隅で、メルロッサは小さく蹲っていた。
弟は、可愛い。
誰よりも、可愛く、きれいで、賢い。
だから、みんなが弟を好きになってもしかたがない。
そう。
自分みたいに、醜くない。
だから、弟をみんなが可愛がっても、しかたがない。
だから、総てがユーベルのものになってもしかたがない。
跡継ぎはユーベルなのだと、母の口がゆっくりと動いた。
ほんの少し前のことだった。
ユーベルが、寄宿学校に行くと言って、馬車に乗った。
見えなくなるまで、メルロッサは馬車の後ろを見送っていた。
その後すぐだ。
部屋に戻ろうとしたメルロッサを、母は地下室に閉じ込めた。
これから、ここが彼の部屋なのだと。
どんなに泣こうと、声が出ることはない。
だから、メルロッサは必死にドアを叩いた。
誰も、来ることはなかった。
真っ赤になった手をさすりながら、メルロッサは、涙を流した。
※ ※ ※ ※ ※
薄暗い部屋の中、白い顔がぼんやりと浮かび上がった。
悲鳴が喉の奥で小さく弾ける。
口を両手で押さえて、小さな顔の中大きな瞳が、それを凝視した。
瞳と同じ色のドレスをまとった幼い少女が、部屋の中で、立ち尽くす。
ドレスの色よりも顔を青ざめさせて、それを、彼女が恋い慕う養い親を凝視する。
「この部屋に入ってはいけないと、言いませんでしたか」
声だけはやわらかく、しかし、養い親が静かに憤っているのだと少女には感じ取れた。
口を開こうとして、
「謝罪は結構ですよ」
遮られた。
いつもこうだった。
冷たい手の持ち主は、やさしい声で、彼女を拒絶する。
その深い紫紺のまなざしは、自嘲を宿して彼女を見下ろすのだ。
「あなたは違いますからね」
「なぜでしょう」
「間違うなどありえないのですよ」
やっと、戻って来られたと、戻ってきてくれたと、そう思ったのに。
なぜ、あなたなのでしょうね。
そう言われて、何度泣いたことだろう。
自分は、彼を失望させているのだと。
痛いくらいに感じた。
今もまた。
黒曜の城の奥深く、空を映したその扉は、王以外には立ち入ることができない。
わかっていて、彼女は踏み込んだのだ。
そこに、王の失望の原因があるのだと、そう誰かにこそりとささやかれたのだ。
誰かは知らない。
たくさんいる魔者のひとりだ。
彼女のことを決して好いてはいない、大勢の魔者たちのうちの誰かひとり。
噓だと、騙されているのだと、危惧はあったものの、知りたかった。
だから、忍び込んだのだ。
そうして、彼女は、見た。
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