2010-01-31(Sun)
いつもご来訪ありがとうございます。
ちょこっとやっとこ書き始めた『ドツボ』です。もう既に何回目なのか、魚里の中でもわやですが。
しかも~思いもよらない展開に。いや、あの設定は最初から決まっていて、ラストのラストにぽっと出そうと決めてたのですが、予定が早まりました。もうかくして奥の限界かなぁ? 本当はもう少し隠しておきたかったのですが、彼の心情やら背景やらを書き込みたかったので、あえなく挫折。キーパーソンと言った理由のひとつにはこういう隠し設定があったのでした。案外バレバレだった気もしますけどね。ありがちだし。
と、まぁ、では、いきます。
*****
「大丈夫でしたか?」
月のない空の下、遠い常夜灯の明がかすかに少年を照らし出す。
大丈夫ではないだろう。
乱れた着衣が、物語るのは、少年が受けたであろう暴行の痕跡だ。
「だ、いじょうぶ。最後まではされなかった…………」
震える手が、着衣を整えてゆくのを、エンリケは静かに眺めていた。
こうして少年を身近に感じていられるのは、幸運なのか、不運なのか。
まざまざと見せつけられた、ボスの少年に対する執着の凄まじさを思い返す。
思い出すのは、少年の耳にピアスをつけたあの日の出来事だった。
少年から立ちのぼっていた、体臭が甘くよみがえる。
ボスに拘束されていた少年の痛々しいまでの震え。
ただピアスの穴をあけるだけですよと、慰めてやりたかった。
しかし。
ボスの目は、よけいなことは口にするなと言っていた。
震える少年の薄い耳たぶに手を触れた。
そのとき、少年の震えが不思議に治まったのだ。
おそらくはその事実が、ボスの逆鱗に触れたのだろう。
そうして、薄々は彼の気持ちも、ボスは悟っていたのに違いない。
あの手ひどい蹂躙のさなか、どれほど、「やめろ」と叫びだしたかったか。
少年が微塵も快感を感じていないことが、見て取れた。
喘ぎではなく悲鳴が耳を打った。
感極まった顔ではなく、痛みに歪んだ顔が、その苦痛を伝えてくる。
痛みを堪えようとソファの皮をかきむしる手の動き。
引き連れるような足の震え。
苦痛にのけぞる喉。
食いしばって血をにじませたくちびる。
悲鳴を放つために開かれたくちびる。
眉がきつく寄せられ、つむった瞳からは涙が迫りあがりこぼれ落ちていた。
どれひとつとっても、少年にとってセックスがただの虐待に過ぎないのだという現実が、苦く理解できた。
そうして。
同時に。
少年のそんな姿に、確かに魅せられている自分がいることをも、痛いくらいに感じていたのだ。
まぎれもなく。
普通の勤め人とは違い裏社会に属する身には、ボスに逆らうイコール生命を賭けなければならないという現実がある。
生命を賭けろというのなら、賭けてやろう。
恋した者に命を賭けるなど、ロマンティック過ぎて笑えてくるが、それもまた、ひとつの生き方だろう。
しかし、自分が恐れるのは、命を賭けることではない。
何よりも恐ろしいのは。
他ならぬ自分自身だ。
そう。
この身には、裏の社会に属して来た者の血が脈々と受け継がれている。
ボスの手から少年を逃がせば、間違いなく、次は自分がボスと同じことを少年に強いてしまうだろう。
救うつもりで、鎖してしまう。そうして、少年の血と肉と涙とを堪能する自分を容易く想像できた。
自分もまた、ボスと同じ穴の狢でしかないのだと。
少年を救ってやることすらできない自分自身を痛いほどに、感じたのだ。
ボスは絶対である。
そうだ。
絶対なのだ。
この身に流れる血を考えれば、少年に対するこの執着は、彼の絶対の遺伝の賜物となるだろう。
趣味嗜好は、親に似るというではないか。
『お父さまが誰か、けして誰にも言ってはいけませんよ』
そう微笑んだのは、最期のことばを告げるはかないひと。
褐色の髪をした、エンリケの母親だった。
全身に惨い傷を負いながら、それでも生き延びたその力強い生命力は、エンリケが五歳のときについに、失われた。
ぼろくずのように森の奥に捨てられた血まみれの母を救ったのは、森の管理をする男だった。
おそらくは母を害した者たちは、森の獣にでも始末をさせるつもりだったのだろう。
東洋の血を引くのだという男が母を助けなければ、自分は産まれることはなかったろう。
記憶を失っていた母は、死の間際にすべてを思い出し、そっと父親のことを教えてくれた。そうして、息を引き取ったのだ。
自分はそのまま、森番の男の息子として育った。
しかし、実の父親に対する興味は失せなかった。
マフィアのボスであると言う、実の父親。
どんな男なのか。
知りたかった。
だから。
育ての父の死を契機に、新大陸にわたった。
そうして、マフィアの入団試験を受けて今に至るのだ。
***** と、まぁ、エンリケさんにもそろそろスポットライトをあててないと、クリスくんの陰に隠れてしまいそうだったので。クリスくんが意外と好評なので、焦った魚里だったりしますvv クリス君も好きですけどね~。影があるタイプに弱いのよ、女ってやつはvv
もう少し『ドツボ』を進めたかったのですが、ちょっと妹宅でワンコと遊んだりしてたので、進みませんでした。
前から妹宅にいるワンコが半分拗ねてます。もう一匹がラブラドールなので、甘え上手というか、人間大好きというか。先住ワンコは、割食ってますね。なもので、魚里は先住くんと遊びたかったのですが、なかなか、後から来た子が魚里を離してくれませんでした。くっ! かわいいわっ! でも、先住くんと、探しに行くと、自分の相手をしてくれるとわかった途端、ワンコの遊ぼうポーズが炸裂! 口に遊び道具をくわえたままお尻を高く上げた前傾姿勢で上目遣い。しっぽは盛大に。
引っ張りっこね。
おっけー!
まだまだ、君には負けないぞ!
いつもは姪っ子たちを引っ張るワンコと力比べ。
ふっふっふ。魚里は体重があるから簡単には負けないのだ……自慢にはならないが。引っ張ってやりましたとも! たくさん。
二頭のよだれにまみれた魚里が家に帰ると、茶々丸が気にしてしまって、離れませんでした。久しぶりだもんね、ワンコの唾液xx

左が後から来た子。ゴンくん。魚里のお腹でまったり。 右が先住ワンコのティーくん。ちょっとお拗ね。
ちょこっとやっとこ書き始めた『ドツボ』です。もう既に何回目なのか、魚里の中でもわやですが。
しかも~思いもよらない展開に。いや、あの設定は最初から決まっていて、ラストのラストにぽっと出そうと決めてたのですが、予定が早まりました。もうかくして奥の限界かなぁ? 本当はもう少し隠しておきたかったのですが、彼の心情やら背景やらを書き込みたかったので、あえなく挫折。キーパーソンと言った理由のひとつにはこういう隠し設定があったのでした。案外バレバレだった気もしますけどね。ありがちだし。
と、まぁ、では、いきます。
*****
「大丈夫でしたか?」
月のない空の下、遠い常夜灯の明がかすかに少年を照らし出す。
大丈夫ではないだろう。
乱れた着衣が、物語るのは、少年が受けたであろう暴行の痕跡だ。
「だ、いじょうぶ。最後まではされなかった…………」
震える手が、着衣を整えてゆくのを、エンリケは静かに眺めていた。
こうして少年を身近に感じていられるのは、幸運なのか、不運なのか。
まざまざと見せつけられた、ボスの少年に対する執着の凄まじさを思い返す。
思い出すのは、少年の耳にピアスをつけたあの日の出来事だった。
少年から立ちのぼっていた、体臭が甘くよみがえる。
ボスに拘束されていた少年の痛々しいまでの震え。
ただピアスの穴をあけるだけですよと、慰めてやりたかった。
しかし。
ボスの目は、よけいなことは口にするなと言っていた。
震える少年の薄い耳たぶに手を触れた。
そのとき、少年の震えが不思議に治まったのだ。
おそらくはその事実が、ボスの逆鱗に触れたのだろう。
そうして、薄々は彼の気持ちも、ボスは悟っていたのに違いない。
あの手ひどい蹂躙のさなか、どれほど、「やめろ」と叫びだしたかったか。
少年が微塵も快感を感じていないことが、見て取れた。
喘ぎではなく悲鳴が耳を打った。
感極まった顔ではなく、痛みに歪んだ顔が、その苦痛を伝えてくる。
痛みを堪えようとソファの皮をかきむしる手の動き。
引き連れるような足の震え。
苦痛にのけぞる喉。
食いしばって血をにじませたくちびる。
悲鳴を放つために開かれたくちびる。
眉がきつく寄せられ、つむった瞳からは涙が迫りあがりこぼれ落ちていた。
どれひとつとっても、少年にとってセックスがただの虐待に過ぎないのだという現実が、苦く理解できた。
そうして。
同時に。
少年のそんな姿に、確かに魅せられている自分がいることをも、痛いくらいに感じていたのだ。
まぎれもなく。
普通の勤め人とは違い裏社会に属する身には、ボスに逆らうイコール生命を賭けなければならないという現実がある。
生命を賭けろというのなら、賭けてやろう。
恋した者に命を賭けるなど、ロマンティック過ぎて笑えてくるが、それもまた、ひとつの生き方だろう。
しかし、自分が恐れるのは、命を賭けることではない。
何よりも恐ろしいのは。
他ならぬ自分自身だ。
そう。
この身には、裏の社会に属して来た者の血が脈々と受け継がれている。
ボスの手から少年を逃がせば、間違いなく、次は自分がボスと同じことを少年に強いてしまうだろう。
救うつもりで、鎖してしまう。そうして、少年の血と肉と涙とを堪能する自分を容易く想像できた。
自分もまた、ボスと同じ穴の狢でしかないのだと。
少年を救ってやることすらできない自分自身を痛いほどに、感じたのだ。
ボスは絶対である。
そうだ。
絶対なのだ。
この身に流れる血を考えれば、少年に対するこの執着は、彼の絶対の遺伝の賜物となるだろう。
趣味嗜好は、親に似るというではないか。
『お父さまが誰か、けして誰にも言ってはいけませんよ』
そう微笑んだのは、最期のことばを告げるはかないひと。
褐色の髪をした、エンリケの母親だった。
全身に惨い傷を負いながら、それでも生き延びたその力強い生命力は、エンリケが五歳のときについに、失われた。
ぼろくずのように森の奥に捨てられた血まみれの母を救ったのは、森の管理をする男だった。
おそらくは母を害した者たちは、森の獣にでも始末をさせるつもりだったのだろう。
東洋の血を引くのだという男が母を助けなければ、自分は産まれることはなかったろう。
記憶を失っていた母は、死の間際にすべてを思い出し、そっと父親のことを教えてくれた。そうして、息を引き取ったのだ。
自分はそのまま、森番の男の息子として育った。
しかし、実の父親に対する興味は失せなかった。
マフィアのボスであると言う、実の父親。
どんな男なのか。
知りたかった。
だから。
育ての父の死を契機に、新大陸にわたった。
そうして、マフィアの入団試験を受けて今に至るのだ。
***** と、まぁ、エンリケさんにもそろそろスポットライトをあててないと、クリスくんの陰に隠れてしまいそうだったので。クリスくんが意外と好評なので、焦った魚里だったりしますvv クリス君も好きですけどね~。影があるタイプに弱いのよ、女ってやつはvv
もう少し『ドツボ』を進めたかったのですが、ちょっと妹宅でワンコと遊んだりしてたので、進みませんでした。
前から妹宅にいるワンコが半分拗ねてます。もう一匹がラブラドールなので、甘え上手というか、人間大好きというか。先住ワンコは、割食ってますね。なもので、魚里は先住くんと遊びたかったのですが、なかなか、後から来た子が魚里を離してくれませんでした。くっ! かわいいわっ! でも、先住くんと、探しに行くと、自分の相手をしてくれるとわかった途端、ワンコの遊ぼうポーズが炸裂! 口に遊び道具をくわえたままお尻を高く上げた前傾姿勢で上目遣い。しっぽは盛大に。
引っ張りっこね。
おっけー!
まだまだ、君には負けないぞ!
いつもは姪っ子たちを引っ張るワンコと力比べ。
ふっふっふ。魚里は体重があるから簡単には負けないのだ……自慢にはならないが。引っ張ってやりましたとも! たくさん。
二頭のよだれにまみれた魚里が家に帰ると、茶々丸が気にしてしまって、離れませんでした。久しぶりだもんね、ワンコの唾液xx


左が後から来た子。ゴンくん。魚里のお腹でまったり。 右が先住ワンコのティーくん。ちょっとお拗ね。
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