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巌窟王
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 巌窟王の1~4巻までを、まとめて見直しました。
 こういう時って、やっぱり、お気に入りになったキャラ中心の視線になっちゃいますね。

 以下、ネタばれありです。

 まさか、そんなことを条件に出されるとは、フランツは思わなかった。
 得体の知れない、男である。
 モンテ・クリスト伯爵と自称する、富豪。
 青い体色に、長くうねる黒い髪、顎に蓄えた、先細りの髭。秀でた額に、細く整えられた、眉。右目の赤と、左目の金色が、フランツを、不安に陥れる。
 昼間、ルナのカーニバルのクライマックス、招かれた、公開処刑のギロチンを臨む窓で、彼がささやいた声を、フランツは記憶から消すことができなかった。
 低く穏やかな声で、彼の友、アルベールを誘惑するさまに、フランツは、全身鳥肌立ったのだ。
 アルベールが、なにものにも換えがたい親友が、まるで古い伝説の蛇に魅せられた処女のように、時折り耐え難さに腹が立つほどに無垢なその心を、絡め取られてゆくのを術もなく、ただ、手をこまねくよりなかった。
 罪人とはいえ、ひとの命をもてあそぶ、その冷ややかさは、いまだなにものでもない親友を、魅了し、自分が断罪を下したという恐怖に、慄かせたのだ。
 カーニバルの熱気がいまだ覚めやらぬ土地で、気まずく別れたその数時間後、まさか、親友がその死の運命から救った男の手によって、フランツは絶望へと突き落とされたのだ。
 かつて、フランツは、幼いフランツのひとことで、父が死んだ。―――それは、錯覚でしかなかったが、父が出かける間際に投げつけた稚いひとことが、父を帰らぬ人にしたような、罪悪感は、記憶の奥でいつもは眠っている。その苦い記憶が、フランツをせっつき、そうして、伯爵のもとへと、恥も外聞もなく、やってきたのだった。
 五千万デュカーティ――それは、いくら貴族の子弟とはいえ、右から左へとおいそれと動かせる額ではない。しかも、ここは、旅先。その上、旅は既に終盤を迎えている。手持ちの金は、心もとない。パリから入金してもらう手も、磁気嵐のせいで、費えてしまった。
 しかし、後数時間で用意しなければ、アルベールは、ルナで恐れられている盗賊、ルイジ・ヴァンパに、殺されてしまうのだ。
 同宿の誼――というだけの、しかも昼間、不適切な態度をとってしまった自分に、彼は、金を貸してくれるだろうか。
 そう思う反面、フランツは、彼は、貸してくれるだろうと、確信していた。
 モンテ・クリスト伯の、自分達、いや、アルベールに対する態度には、何か、思惑があるにちがいない。そう、自分は、一般的な男爵に過ぎないが、アルベールは、知らないものはいないだろう、全宇宙に名だたる、勇猛な、モルセール将軍閣下の息子なのだ。
 それでも、昼間の印象を拭い去ることはできず、最後の最後に、フランツは、彼の泊まる、ホテルの階までやってきたのだった。
 そうして――――
 穏やかに承知してくれた伯爵は、その同じくちびるで、交換条件を、持ちかけてきたのだ。
 それは、あまりに、思いもよらぬものだった。
 そう、それは、彼、フランツ自身だったのだ。


 こんな感じかな。
 萌えてしまったので、とりあえず。って、ほとんど、アニメそのまま引き写しやんxx
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